『生産年齢人口』という言葉はもう使わないで

 「生産年齢人口」という言葉を皆さん御存知でしょう。15~64歳人口を指す用語です。 皆さんもこの言葉を使って論を展開されたりすることもあるのではないでしょうか。
 その用語の趣旨は生産活動の担い手、経済社会の支え手、ということだと思います。 このことは、その「生産年齢人口」の外にいる15歳未満人口と65歳以上人口の合計を、 15~64歳人口に支えられている「従属人口」と言っていることからも明らかです。
 実際この「生産年齢人口」を「従属人口」で割った数値をもって、「何人で何人を支える」 といった言い方もよくされます。例えば2024年で言えば、その比率は約1.47となり、 ほぼ1.5人で1人を支えるということになります。それで大変だなどと大騒ぎにもなったりするわけです。

 しかしこれはとてもミスリーディングです。なぜなら支え手は単なる人口ではなく、 働く意思を持った人口である「労働力人口」だからです。2024年には65歳以上の労働力 人口は946万人で、これは労働力人口全体6957万人の13.6%で、ほぼ7人に1人にのぼります。 65歳以上の人たちは、すでに経済社会の支え手として欠かせない役割を果たしています。
 人口に占める働く意思を持った人の比率である労働力率で見ても65歳以上で26.1%と4人に 1人以上は就労意思を持っています。さらに高齢者の中でも比較的若い65~69歳では54.9% 、70~74歳でも35.6%と、それぞれ2人に1人以上、3人に1人以上は就労意思を持って います。
しかもこれから65歳以上の高齢人口は2040年代にかけてまだ当分増加し続け、一方で15~64歳人口 はどんどん減っていきます。日本の経済社会はますます65歳以上の高齢労働力に頼らなくてはなら なくなることは確実です。そんな時代になってもまだ15~64歳を「生産年齢人口」などと言い続ける 人たちは一体何を考えているのでしょうか。
 私はこうした問題意識を持って、かつて「『生産年齢人口』の誤謬」(『週刊社会保障』2017年10月2日号) という拙文も書きました。しかしそれから8年経っても相変わらずメディアや政府資料などでこの 言葉は使われ続けています。高齢者に社会の支え手になって欲しいと言っている政府などは、 まず率先してこの用語を使うことを止めるべきです。そしてもちろんシニア社会学会会員の皆さまにも、 そのことを是非お願いしたいと思っています。

2025年5月
一般社団法人シニアシニア社会学会 副会長
  日本赤十字社 社長 清家篤

2025年度定時総会・創立25周年記念大会

2025年度の総会・大会開催場所は昨年同様「千葉商科大学市川キャンパス」に決まりました。 終了後に「懇親会」の開催を予定しております。創立25周年記念大会<となりますので、多くの会員のご参加をお待ちしております。

1)開催日:2025年6月7日(土)
2)時間 :総会(会員のみ)11:00~12:00 大会13:00~16:40
3)会場 :千葉商科大学市川キャンパス7号館(大会のみオンライン併用)
4)参加費:大会1,000円(学生無料)、懇親会4,000円
大会テーマ:「いま、なぜシニアの社会参加なのか」
(1)基調講演:「シニアが拓く、「三方良し」の地域づくり」
  藤原佳典(東京都健康長寿医療センター研究所 副所長
       東京都介護予防・フレイル予防推進支援センター センター長)
(2)パネルディスカッション:司会:袖井孝子(当学会会長)
<パネリスト>:
★ 池口武志(当会理事、一般社団法人定年後研究所所長)
「シニアが働き続けることの個人的社会的効果」
★ 野中孝泰(当会副会長、特定非営利活動法人ニッポン・
            アクティブライフ・クラブ会長)
「シニアにとっての社会参加の可能性と意義」
★ 清水肇子(公益財団法人さわやか福祉財団理事長)
「シニアの社会参加が地域社会にもたらすもの」
<コメンテーター>:藤原佳典
≪懇親交流会≫17:00~18:30
       千葉商科大学市川キャンパスThe University Dining
【申込方法】
※ 申し込み方法についてはPeatixとメールの2種で行います。
◆大会参加は、 6月5日にまでにPeatix(http://2025taikai.peatix.com)
あるいは当学会宛のメール(jaas@circus.ocn.ne.jp)でお申し込み下さい。
メールでお申し込みの方は銀行または郵便局で参加費をお振込みください。会場参加の方は、当日会場での支払いも可です。
◆懇親交流会の参加は、事前にお申し込みください。
5月24日までにメールでお申込みください。
会費は、当日会場でお支払いください。
詳細は、プログラム PDFアイコンをご覧ください。

2022年度財団法人倶進会一般助成 報告書掲載

社会情報研究会が実施した、2022年度財団法人倶進会一般助成「高齢者のデジタル・インクルージョン達成のための方策に関する探索的研究」の報告書を掲載しました。

「高齢者のデジタル・インクルージョン達成のための方策に関する探索的研究」 PDFアイコン 

社会のデジタル化は急速に進展しており、キャッシュレス決済や遠隔診療、マイナンバーカードをはじめとする行政サービスの電子化等の流れは今後も加速していくと予測されます。 しかし、高齢者にとってこれらのサービスを利用するには障壁があり、デジタル化に取り残される懸念が発生しています。

この研究では高齢者を対象としたインタビュー調査を行い、デジタル社会への適応にについて、高齢者が持つ課題を抽出し、さらに、課題解決のための次のような支援策を検討しました。
1)スマートフォンの購入等、経済面に対する支援
2)利用の初期段階に対する支援
3)利用のさらなる促進に対する支援
4)自助・共助/コミュ助・公助 による三位一体の施策推進
支援策の詳細は、報告書をご覧ください。

※ 本研究についてのお問い合わせは、事務局までeメールにてお願いします。

新規会員随時募集中

学会の新しいリーフレットを作成しました PDFアイコン

シニア社会学会は、どなたでも入会できます。
入会申込書に必要事項を記入の上、事務局にお申込みください。
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研究会開催案内

「社会保障」研究会

第170回「社会保障」研究会開催のお知らせ
(1)日 時:2025年5月21日(水) 18:00~20:00
(2)報告者:金 貞任(東京福祉大学教授)
(3)テーマ:「アドバンス・ケア・プランニング(人生会議:ACP)の現状と情報提供について ―要介護高齢者の家族介護者を中心に―」
(4)オンラインで開催いたします。
参加を希望される方は、 阿部 fujiko-s@jeans.ocn.ne.jp (@は、半角にしてメール送信ください)にご連絡ください。
※ご質問がございましたら、阿部までご連絡下さい。

「シニア社会のリテラシー」研究会

第106回「シニア社会のリテラシー」研究会開催のご案内
(1)日 時:2025年5月22日(木)15:00~18:00
(2)場 所:早稲田大学・国際会議場4階第6共同研究室
(3)テーマ:「コミュニティの原点・村落共同体に学ぶ」
(4)発表者:大下 勝巳
(5)参加費:300円
*お問い合わせ等は、島村(ken-sima1941@jcom.home.ne.jp)までお願い致します。

「災害と地域社会」研究会

第75回「災害と地域社会」研究会開催案内
(1)日 時:2025年5月21日(水)18:00〜20:00
(2)会 場:早稲田大学26号館1101会議室
(3)開催形式:会議室対面とZoomのハイフレックス開催
(4)開催主体:早稲田大学「地域社会と危機管理研究所」、当学会「災害と地域社会」研究会共催
(5)報告者:松村治(地域社会と危機管理研究所 招聘研究員)
(6)テーマ:「地方都市の未来を決めるもの -鶴岡市における地域コミュニティの活動と住民の地域への愛着」
※ お問い合せ、お申し込みは、松村(o.matsumura@kurenai.waseda.jp)までご連絡ください。

「社会情報」研究会

第58回「社会情報」研究会開催のお知らせ
(1)日 時:2025年5月28日(水) 15:00~17:00
(2)場 所:Zoom開催
(3)報告者:全員で検討
(3)概 要:「高齢者の情報リテラシー」の枠組み検討
*参加ご希望やお問い合わせ等は、担当:森(moriyasu@ied.co.jp)までお願い致します。

「YNSやまぶき任意後見サポート会」

第56回「YNS やまぶき任意後見サポート会」開催のお知らせ
(1)日 時:2025年5月24日(土) 18:30~20:30
(2)場 所:品川区東大井 5-18-1 きゅりあん 第二グループ活動室
(3)テーマ:人形劇の在り方
  認知症を可視化し、できるだけわかりやすくします。人形劇、寸劇など劇団員募集しています。
(4)発表者:YNS やまぶき任意後見、アワーズ、学会員
*お問い合わせ等は、担当:鈴木眞澄(mme_masumi@yahoo.co.jp)までお願い致します。

「ライフプロデュース」研究会

第62回「ライフプロデュース」研究会開催のお知らせ
(1)日時:2025年5月28日(水) 17:30~19:30
  Zoom開催
(2)テーマ:生活習慣病を防ぐには:「食について考える」健康管理士 長谷川洋
※ご連絡ご質問は、中村までご連絡ください。(nakamurayoshiko6@gmail.com)

新着情報

2025.5.20 JAASNews第309号を掲載 PDFアイコン 
2025.4.14 JAASNews第308号を掲載 PDFアイコン
2025.3.17 JAASNews第307号を掲載 PDFアイコン
2025.2.17 社会情報研究会による「高齢者のデジタル・インクルージョン達成のための方策に関する探索的研究」 PDFアイコン報告書を掲載しました。
2023.12.19 活動についてに活動評価委員のコメント第3回を掲載しました
2023.11.20 活動についてに活動評価委員のコメント第2回を掲載しました
2023.10.17 活動についてに活動評価委員のコメントを掲載しました
2022.6.29 事務所移転しました
新住所
〒101-0054 東京都千代田区神田錦町3-21
  ちよだプラットフォームスクウェア1037
2021.12.07 2021年8月8日(日)に行われた板倉真琴監督「ひとと原発」上映対談会の記録を掲載 PDFアイコン
2020.1.20 「災害と地域社会」研究会2016―2018年度報告書を掲載 PDFアイコン(4.2MByte)(ファイルの容量が大きいのでお気をつけください)
      3/13内容に修正があったため、差し替えております。
2019.11.11 第5回シンポジウム「あれから 8 年-<二点居住>という生活のかたち 」の記録を掲載 PDFアイコン
2018.8.6 第4回シンポジウム「あれから7年~私たちはフクシマをわすれない~」の記録を掲載 PDFアイコン
2017.4.19 「災害と地域社会」研究会2015年度報告書を掲載 PDFアイコン(3.7MByte)
      (ファイルの容量が大きいのでお気をつけください)
2017.3.8  2016年11月19日に開催したシンポジウム「(第3回)私たちはフクシマをわすれない」の記録を掲載 PDFアイコン
2016.4.28  「コミュニティ学のススメ-ところ定まれば、こころ定まる」要録を掲載 PDFアイコン
2015.9.24 「災害と地域社会」研究会2014年度報告書を掲載 PDFアイコン(8.5MByte)
      (ファイルの容量が大きいのでお気をつけください)
2015.4.16  「あれから5年~私たちはフクシマをわすれない~」要録を掲載 PDFアイコン
2014.10.8 「災害と地域社会」研究会2013年度報告書を掲載 PDFアイコン
      (この報告書目次のタイトルをクリックすると、各章に跳びます。)
2014.7.4 機関誌「エイジレスフォーラム」投稿規程を掲載 PDFアイコン
2013.7.8 「濱口研究会10年・100回記念号―シニア社会のリテラシー」頒布のお知らせ 
2012.4.12 2011年度WAM助成事業「ICTによる高齢者孤立防止モデル普及事業 報告書」 PDFアイコンを掲載
2011.4.1 2010年度WAM助成事業「ICTによる高齢者孤立防止モデル開発事業 報告書」 PDFアイコンを掲載
2010.5.1 ホームページをリニューアルしました。