沖藤座長から、シニア世代はいかにして次世代を支援し連帯できるかを当学会設立の趣意として、また社会全体として子育て支援で何ができるのかも考えていきたいと挨拶があり、参加者全員が当研究会への参加動機とテーマに関わる自己紹介を行いました。
引き続き研究会を進めるためのキーワードが検討され、次の7つが決まりました。@子育てへの世代間連帯、A育児保険、B働く女性支援、C孤立する(孤独な)主婦支援、D(子育て)親支援、E男性の意識改革、Fシニア世代は次世代に何ができるのか。
次に今後の活動として、短期的・長期的な目標について話し合われました。
■第2回例会
第2回次世代育成支援研究会は、3月13日(木)生命保険文化センターにて開催されました(出席:9人)。
今回は「次世代育成支援」の基盤認識を深めるため、「少子化問題」をとりあげ、メンバーの榊原智子さん(読売新聞・記者)から、厚生労働省の「少子化対策プラスワン」「次世代育成支援推進法案」についての解説と国立社会保障・人口問題研究所刊の小冊子「日本の人口問題」についてレポートと解説があり、出席者の自由討議が行われました。
■第3回例会 4月10日(木)18:00〜 場所:お茶の水女子大学
「日本の人口問題」その2と「少子化対策プラスワン」の勉強会
■第4回例会
5月8日(木)午後6時〜8時:原宿パレフランス(出席:19人)
配付資料/「次世代育成支援対策関係資料集/平成15年4月」「別冊・参考資料」(厚生労働省)
講師/吉岡てつお氏(厚生労働省・少子化対策室長)
吉岡講師に、当研究会が前もって提示した11項目の質問事項(別添書類参照)に答えていただくとともに、前掲資料を参考にしながら、厚生労働省の「次世代育成支援対策推進法案」の趣旨について、最新の情報を交えながら説明していただいた。テーマと講師の新鮮度が好評だったのか、研究会最大出席者19名の参加を得て、講義終了後は講師との熱心な質疑応答が行われた。概略は以下のとおり。
2003年は「次世代育成時代元年」である。次世代育成支援に関する当面の取組を、「少子化プラスワン」(02年9月/厚生労働省)をふまえた方針として政府では定めた。そして「次世代育成支援対策推進法案」(詳しくは配付資料参照)を平成17年度施行から平成27年度までの10年間の時限立法としてスタートさせるため、厚生労働省では準備中、平成15、16年度は同対策の基盤づくりの年となる。
同法案は、国と地方自治体からなる「行動計画」と事業主からなるそれとで構成される。実際の取組は「次世代育成支援対策地域協議会」「次世代育成支援対策推進センター」等を組織して、民間団体と地方自治体などで実施していく。当研究会としては、このあたりのどこかの部分を担うことができるのではないだろか。
■第5回例会
第5回研究会は 6月12日(木)午後6時から生命保険文化センターで開催されました。(出席8人)石井幸代さん(慶応大学社会人学生)の作成レポート「少子化対策プラスワン政策評価」の説明。
今国会で審議中の「次世代育成支援対策推進法案」の元となる“少子化対策プラスワン” (02年9月/厚生労働省)について、石井さんによる政策評価の説明を聞き、皆でプラスワンを学ぶ。
少子化プラスワンの骨子は次の5つ。
1)男性を含めた働き方の見直し、2)地域における子育て支援、3)社会保障における次世代支援、4)子どもの社会性の向上や自立の促進、5)引き続き、待機児ゼロ作戦。
石井さんの「すぐできる政策提言」については、1)父親の出産休暇義務づけ、2)不妊治療特別休暇の導入、3)増設保育園へデイサービス機能を付加、4)保育料補助より児童手当の支給、5)保育の担い手(建物でなく人へ)援助に投資。結論として、企業の改革、地域のネットワーク、社会保障の国民応分負担、子育て支援の社会体制、私たちの意識改革が大切という。
■第6回例会
7月10日(木)午後6時から生命保険文化センターで11名が参加して開催された。厚労省吉岡少子化対策室長への「次世代育成支援対策推進法案」(衆院通過)Q&A11、まとめの説明
.全5回の研究会を終えての中間まとめの話し合い(以下要旨)
・法案の「次世代育成支援地域協議会」は任意団体が申し出ることができるので、当研究会も「協議会」になれるかどうか検討する。
・義務教育の中でも介護も学校の教育実習に入っているので、保育も教育課程に取り入れるよう、文科省等に働きかけたらいい。
・当事者世代30代男性へ「男性の意識改革」アピールを。
・議論が進んできたので、今年度末までに具体的な提言を出しアピールできるようなスローガン作りを。
・「少子化」をテーマにして互いの考えを述べあい、「少子化」という用語について、当研究会での共通意識づくりが必要。
・初回で確認しあった7つのキーワードをそろそろ絞り込む必要がある。
・「育児の社会化」是か非かのスタンスの議論が必要である。
・若い人からのヒヤリング、「男の子育ての会」メンバーからのヒヤリングなども検討してはどうか。
・今回話し合ったことを中心に、後半期では提案書づくりをめざす。
次回は8/7(木)18時〜、テーマは子育て当事者からのヒヤリング。
提言作成へ向けて後半期の予定は、9/18、10/9、11/13、12/2、(全木曜日)。
11月は当学会長・木村尚三郎先生の講義「少子化」を。
■第7回例会
8月7日(木)午後6時から労働者協同組合連合会会議室において17名の参加で開催されました。今回は、子育て・育児休暇について、川上一郎さん、田口まりさん、杉浦美穂子さんの3人から、当事者としての体験談を発表いただきました。
◆川上さんは中央官庁にお勤めで、育児休暇の取得に到る経緯と、子育ての苦労も体験をとおして語られた。職場で最初の育児休暇取得者であったが、その後継続はなされていない。しかし一石を投じたことで有給は取りやすくなるなど、きっかけを作ることが出来た。また、育児休暇の現実は、夜もまともに睡眠が取れない、昼も子供の雑用に振り回されるなど、子育ての苦労を実感したが、子供とのコミュニケーションが密になるなど、プラスの面も多々あった。
◆ 田口さんは保育士の立場から、子育てに関するアンケートをもとに、母親の悩みなどを語った。育児に困ること・辛いことでは、日常の精神的・身体的負担(体調が悪くても育児は休めないなど)64%
と大きな負担となっている。また、育児中にして欲しいことの一番に上げられたのが、子供を連れて行けないときに「子供の面倒を見て欲しい」が52%と半数を超えている。更に、「育児中でも、趣味や外出など自由な時間が欲しい」が何と81%を占めている。0〜2歳半くらいまでは、在宅保育がほとんどであり、この時期の母親への支援が不可欠である。
◆ 杉浦さんは仕事・出産・子育て・保育所などの現実体験を語る。現在お嬢さんは5歳。まず、産後間も無い子供と2人きりでマンション生活、ほとんど言葉を発しないので、言語障害になってしまう。また、赤ちゃんの扱いに不慣れなことからくる行き場のないイライラ。自分の母親と同居したが、子育て方法などの違いや、母への負担など心配が堪え
ない苦労。男女平等といわれるが、現状は、30年前の母親の時代と変わっていないように思う。
以上の発言を受けて、参加者で質疑、意見交換がなされた。子育てなど次世代支援はいろいろな意見があり、1つにまとめるのは大変難しい。
第8回報告
2003.9.18.(木)18:00~生命保険文化センター
13名出席
1.「育児休業制度に関する調査報告書」(お茶の水大学袖井孝子研究室による)の概要を沖藤座長が解説。この報告書は、育児休業制度が仕事と家庭生活の両立や女性の就業継続に与える効果について究明するもの。即ち、育休制度が就業継続に与える効果として、職場に育休制度があることが就業継続の可能性を高めるとしている。就業継続の可能性については、制度普及だけではなく取得者の職業観や育児観、就労動機などが関連してくること、就業継続に肯定的でない人や「3歳児神話」支持者などが就業の継続に否定的になりやすいことなどがこの調査からわかった。
2.次世代育成支援施策の在り方に関する研究会の概要を、同研究会委員である杉山千佳さんから説明。研究会を終えて杉山さんは、厚労省は保育所中心の考え方であり、女性の就労がどうなるかや母親に対してはどうかなど、女性の問題について議論が及んでいないことは残念と嘆く。
3.自由討議(詳細略)
・ 次回:10月9日(木)午後6時から生命保険文化センター(霞ヶ関・日比谷中日ビル)にて。
・ 講師:松井博志氏(日本経団連)を招き、産業界からの育児休暇、女性の復職・雇用について話を伺う予定。
「少子高齢社会」を迎えた日本、「少子化」は「高齢化」と同じくあるいはそれ以上に日本の将来にとって重要な問題であり、「次世代支援こそが高齢者の社会的役割」という論点から、ノンフィクション作家・沖藤典子氏を座長に03年2月12日「次世代育成支援研究会」がスタートしました。 | |||||||||||||||||
『「次世代育成支援」に関する要望と提言』を内閣に提出 2004年3月15日・16日の両日に当研究会で取りまとめた『「次世代育成支援」に関する要望と提言』を坂口厚生労働大臣、小野特命担当大臣(青少年育成及び少子化対策担当)、福田内閣官房長官他関係部署に提出いたしました。 提言書の内容は、ここをクリックしてください。 提言書提出についての詳細、新聞報道等は、JAAS News第45号をご覧ください。 ■第11回研究会 日時:12月11日(木)、会場:生命保険文化センター 参加者:14名 初回に今後の進め方として「シニア世代はいかにして次世代を支援し連帯できるか」をテーマに7つのキーワードを皆で確認しました。そして、毎回各方面から講師を招き話を聴き、意見交換がなされたものを纏め、シニア社会学会として然るべき場所に対して「提言・要望書」を提出する事も確認されました。 前回(第10回11/13)までの意見交換・検討をもとに、沖藤座長自ら提言書のドラフトを作成。事前に研究会メンバーに配布、それをもとに詳細にわたり、文章表現の確認、加筆の必要箇所など検討がおこなわれました。今後は文章をまとめる作業に入るため、起草委員会(沖藤座長、望月、榊原、田口の4名)でまとめ、12月20日のシニア社会塾で木村会長にチェックを依頼するとともに、その後、最終案「『次世代育成支援』に関する要望と提言」を完成させる方向で作業を進め、運営委員会・理事会の承認を得て3月中に内閣総理大臣宛提出する予定です。次回例会は2月12日(木)を予定します。ここで、内容確認、提出方法の打ち合わせをおこないます。 (武者・記) ■第10回研究会 11月13日(木)18:00〜20:00、生命保険文化センターで開催、参加者16名。 過去9回に亘る研究会の要約を沖藤座長がまとめ、その資料をもとに提言書のための内容確認、自由討議が行なわれました。 討議は参加者からさまざまな意見が出され、提言は国だけでなく、企業や地域に対しても必要ではないか。また、行政だけでなく市民の同調を得る視点も大切、との意見が出されました。次回の研究会で提言書の最終案を纏める方向を確認し、提言書は来年3月を目途に、内閣総理大臣ほかへ提出する予定。 (武者・記) |
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次回研究会から参加ご希望の方は、事前にシニア社会学会事務局にFax又は電子メールでお申し込み下さい。 | |||||||||||||||||