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第94号をお届けします
      
   シニア社会学会事務局 2007年7月25日

              < もくじ >                                              ページ
1.連続講座 〜人生100年時代をどう生きるか〜 第4回参加者感想 
2.2007年度第6回総会・大会報告(パネルディスカッション) 1−3
3.研究会報告とご案内                      3
4.事務局から夏休みのお知らせ                  

1.連続講座「人生100年時代をどう生きるか」
    (トーク&コンサート)
  −第4回参加者感想−

   いくつになっても、生きいきとした自分の人生をまっとうする
     〜自立したシニア像を求めて〜


  坂巻 煕(社会福祉法人潤澤会理事長・元毎日新聞論説委員)

長い新聞記者生活、大学教授のご経験から少子高齢社会の諸問題を話され、私も自分の行く末と重ね合わせ拝聴しました。
最初は、ご案内の中に「構造疲労の社会システム」とあり、「老若共同参画社会」研究会に参加している者として多少力みもあってか、少しまじめに堅く考えましたが、内容はその中に笑いを誘いながら、十分満たしてくれました。
先生は最後に、シニアの方も次世代へのために何かを、と話されました。同感で今日の格差社会を検分するとき、適切な施策が講じられなければ、年金をはじめとし大変なことになる。現在の若者(30歳・非正社員)も30年後には確実に60歳になる。ときすでに遅しである。占い師より確実に予測できる。多くの問題に触れられ考えさせられる時間でした。   会員・荻野 義雄氏(東京)

2.2007年度第6回総会・大会報告「パネルディスカッション」
前号に引き続き、6月14日()市谷日大会館で行われた総会・大会の報告です。「パネルディスカッション」は、懇親交流会後の13:2015:30に行われました。クオリティ・オブ・ライフ向上の知恵とノウハウを、医学、心理学、社会学、教育、医療、福祉等幅広い視点で学ぶことができた意義深い時間でした。

パネルディスカッション:エイジング社会を健康でしあわせに生きる
      〜
クオリティ・オブ・ライフの向上〜


コーディネーター
◆濱口 晴彦氏(創造学園大学教授・早稲田大学名誉教授)
ターザン映画の名脇役チンパンジーのチータが、75歳で存命である(ギネスブックの長寿記録)。医学的・生理的な環境条件が整えば長寿は可能だが、真に生きがいをもって、自分の人生を肯定的に考える人は必ずしも多くない。これは、別の面の「生活習慣」の問題である。また、高齢者が社会全体、次世代のメンターとしての役割を果たすことも大切。男性の出生率が漸減しており、将来、男性・女性の役割の変化が起こる可能性もある。

パネリスト
◆水野 恭一氏(水野クリニック医院長・横浜市都筑区医師会長)
老化は、精神・神経、血管、骨・関節、筋力・体力、肌、ホルモンに現れる。人体も金属と同じく、時間の経過とともに錆びる。この元凶の代表が「活性酸素」である。発生要因は、自然放射線・紫外線・大気汚染・電磁波(携帯・パソコン)・食品添加物・アルコールなど。これを防ぐ「抗酸化物質」を取り入れることが大切。良い生活習慣・食習慣を身につけて、前向きに生きること。「病は気から」、「老化も気から」なのである。

◆田崎 美弥子氏(東京理科大学准教授)
WHO(世界保健機関)の日本QOL研究センターとして1992年より調査を行っている。QOLのポイントは、生活に対する主観的満足度である。日本は、5段階評価で、回答が3に集中する傾向が強い。諸外国に比べてその値は高くない。03年の60歳以上の男女の調査では、健康に対する満足度、周囲からの評価、仲間意識の点で、女性より男性のほうが高かった。また、高齢者の年収とQOLに強い相関があることが判明した。

◆池添 素氏(らく相談室長)
子育て相談室を開設して15年。@子育ても昔と大きく変わった。競争は幼稚園入園からはじまっている。A「みんなしていたこと、だから、あなたも」は通用しない。B子どもの発するSOSを早めにキャッチして、大人が大切に受け止めること。C子どもが自分自身に自信を持ち、自分はまわりから信頼されているという感情をもたせること。C子どもは大人の鏡。大人は子どものモデル。シニアは、社会のお手本としての責任がある。

◆櫻井 登美枝氏(社会保険横浜看護専門学校副学校長)
@日々の「生活習慣」の中での健康状態を良く知り、健康が維持増進できるように努力を続けること。A健康的でないと自覚された生活習慣は、なるべく早くに修正すること。B健康状態を常に客観的にチェックすること。C万が一、病気になったら、その素になった原因をよく考え、早期に治療をすること。D病気が長引く場合には、病気ときちんと向かい合い、病気と仲良く付き合う努力をすること。

コメンテーター
◆坂田 壽衛氏(日本大学大学院教授・社会保険横浜中央病院名誉院長・医学博士)
平均寿命は伸びているが、生きがいを感じて活動する「活動寿命」を伸ばさなければならない。そうなれば、自然にQOLも向上する。どういう状況においても悲観せず、何らかの形で活動する場面を創っていくことが肝心。まず、全てを肯定する、BUT,YESではなく、YES,BUTの心構えが大切。病気になっても、病気とうまく折り合いをつける精神である。限りある人生をどう主体的に生きるかが求められている。(以上 大島 記)

□パネルディスカッション 参加者感想
クオリティ・オブ・ライフの向上により老後を健康に過ごすためには、というのが今回のパネルディスカッションのテーマであった。老後に限らず、健康で過ごすために私も含めて多くの方々は意識する、しないの違いはあっても大変な努力をしているのではないだろうか。
今回はあまり大きくとらえられていなかったが、医療環境の地域格差という問題がある。私が住んでいるところは人口10万人以上の地域の中心都市だが、医師不足で特定の診療科が廃止になったり、慢性的な赤字や後継者不足によって廃業する病院も少なくない。こういった地域に老後を過ごす者にとっては健康であるかそうでないかは極端にいえば生死に直結する問題である。快適なエイジング社会の実現には、個々人の生き方ももちろんであるが、医療制度の抜本的な見直しは不可欠である。パネリストの方々のご意見は刺激的で日頃健康について無頓着な私にとっては深く反省しなければならないものであったが、制度としての医療についてもう少し切り込んでいったならばさらに面白いことになったと思う。 
                    上野栄一氏(北見市)

「私のボケ防止」
私は来年1月に70歳になる。昔は数えで言っていたので既に古希は過ぎている。先日の大会でのパネルデイスカッションはわが身を振り返り、大変興味深く聞かせていただいた。先生がたのお話を聞いて、自分ではややボケが生じてきたかと思っていたが、老人性痴呆というにはまだ早いかなと思うようになった。肉体的には成人病の症状、高血圧、高血糖は出てきておりお薬のご厄介になっているが、まだ日常の生活には支障をきたしていない。WHOの健康の定義の中には不十分ながらも入っているのかなと自己満足するようになった。毎日の生活の中で今日なにをするかと思い煩うことは全くない。まず、現役の頃の経験を生かして、週一度大学の非常勤講師として「産業論」の講義をしている。また、監査役を勤めたことから監査役およびOBの団体の理事として、一月に一度開催している講演会の運営を行なっている。さらに大学時代にやっていたコーラスを二つのグループに入って歌っている。年に一度は「第九」の合唱に参加している。これからも田崎先生のレジュメの中にあるQOLの向上を図り、主観的な幸福感の追及に努力していきたいと思っている。    
                     左近司忠政氏(東京)


3.研究会報告とご案内
■第22回「老若共同参画社会」研究会開催報告
 第22回「老若共同参画社会」研究会は、720()早稲田大学高田牧舎2階人総研会議室で12名が参加して開催されました。テーマは、海野和之さんから「52の提言の再分類のために━ワンフレーズによる提言全体の概観」と題しての発表でした。そして小冊子作成作業の編集チームが編成されました。
■第23回「老若共同参画社会」研究会のご案内
 第23回「老若共同参画社会」研究会は、921()17時から19時まで、早稲田大学高田牧舎2階人総研会議室で行ないます。テーマは編集チームからの「シニアからの提言」小冊子の提案 を予定しています。お問い合わせ等のある方は、事務局当研究会担当の島村までお願い致します。  (島村 記)

4.事務局から夏休みのお知らせ
8/13(月)〜17(金)の間、事務局は夏休みとさせていただきますので、ご理解・ご協力をお願いいたします。

【編集後記】
新潟県中越沖地震、台風、豪雨等の自然災害、大臣の不用意発言、年金問題、社会保険庁問題、ミートホープ偽装問題、コムスンの業務停止問題等、官民を揺るがす問題が噴出しています。シニア社会学会として、変化が著しい現代の課題を見据えながら将来のあるべき姿を社会に提言する使命を今こそ発揮し、行動する学会を目に見える形で社会に発信していく時期にあるのではないかと思います。今回で第6回総会の特集が終了となります。新会長をお迎えし、新たな体制で大いなる船出を会員一丸となって推し進め、当学会の存在感を世に問う活動に邁進したいと切に願っています。今後とも会員各位のご協力をよろしくお願いします。
                        (事務局・黒澤 記)