JAAS News第76号をお届けします   
                                      シニア社会学会・事務局:2006.6.12
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1.2006年度定時総会・大会、成功裡に終わる。(報告その1)
2.7月1日(土)シニア社会塾シリーズ第2回開催のお知らせ
3.研究会の動き
4.シニアニュース
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1.2006年度定時総会・大会が盛会のうちに終了しました
6月5日(月)に東京・銀座東武ホテルで開催された2006年度定時総会・大会は100名を超える参加があり、大盛況のうちに終了いたしました。その結果を本号から78号にてご報告いたします。
■福原会長のご挨拶
総会に先立ち福原会長より、社会が発信している声を聞き取って、お返しすることができる学会として、一段の努力をお願いしたいとのご挨拶がありました。

■定時総会 午前10:00〜10:30
総会議決権者数は355名、定足数178名に対し、出席者55名、委任状135名、合計190名であり、総会は成立。濱口晴彦理事・運営委員長の議長のもと各議案について審議が行われ、都築事務局長から第1号議案〜4号議案が説明され、4議案とも満場一致で承認されました。
■高畑副会長のご挨拶
基調講演に先立ち、高畑敬一副会長から大会開会のご挨拶があり、日本の超高齢化社会への展望と高齢者の役割が大切なこと、そして昼の懇親会では、福原会長を囲みながら会員の相互コミュニケーションを図っていただきたいと述べられました。

■福原義春シニア社会学会・会長による基調講演 午前11:00〜12:00
基調講演「ワーク・ライフ・バランスをめざして」   〜人口減少社会に〜
事実確認から問題提起という流れでお話を進められました。企業経営者としての広い視点と見識に時間を忘れて引き込まれるとともに、奥深い豊かな人間性に触れることができた基調講演でした。多くの統計資料に基づき人口減少社会の実態について説明がなされたのでその一部を紹介します。
●人口減少社会の実態
○高齢者非労働人口の活用について
平均寿命は男78.69歳、女85.59歳。また健康寿命は男71.9歳、女77.2歳となっているがまだまだ伸びると推測される。流動性知能(記憶力、計算力等)と結晶性知能(判断力、発想力、統率力等)において、特に結晶性知能は30歳を過ぎてから伸び続け60歳くらいがピークになる、この資源を社会のために活用すべき。高齢者就労率の高い地域は高齢者医療費が抑制傾向にあることから働くことが健康によい影響与える。
○出生率の回復について
男女の働き方と出生率の関係について「女性の働きやすい環境が整備されていると出産率も高い」「男性の家事時間割合が低い国ほど出生率は低くなる傾向がある」
●資生堂の男女参画・ワーク・ライフ・バランスの取組み
(1)  ポジティブアクション 女性も男性も共に「自分らしさ」を発揮する職場をめざす。
(2)仕事と家庭の両立 wiwiw、カンガルーム、育児支援制度、介護支援制度等の紹介。
(3)取組みの成果 これらの取組みから、@M字カーブではなく、ふつうに仕事と育児の両立ができる、A優秀な女子学生の応募が増加、B「女性も男性も、自分らしさを発揮している」と感じている社員が増加、C女性管理職数の増加、という成果があった。
ワーク・ライフ・バランスとは、会社と個人の双方にとってメリットのある働き方をめざすことと考えている。資生堂がめざすワーク・ライフ・バランスサイクルは「メリハリをつけて働き個人生活時間を創出」⇒「地域・家庭・社会などの多様な価値観に触れる」⇒「多様な価値観を取り込んで仕事に生かす」⇒「仕事の価値創造力・生産性を高める」こととなり、これがタイムマネジメント・スキルのアップにつながった。
●21世紀の社会と会社と個人
21世紀の社会の中で会社と個人が対等の関係となり、いろいろな価値観をやり取りすることが重要となる。
(1)人間はもともと多様な生き方をするものであって、その多様性を認めること。社会人間となること、複線人生を持つことが必要。
(2)タテ型ピラミッド組織の限界〜新複合型組織へ プロイセン参謀本部以来のタテ型ピラミッド組織から、組織自体をGEのウェルチ型組織を参照しながら新しい複合型組織へする必要性がある。新複合型組織は個の自発性を引き出し、個を動機付けするものでなければならない。
(3)Rダーレンドルフ卿「3つのセクター」 3つのセクター「政府」と「企業」と「非営利」の3つの輪が重なり合うようになる必要性がある。
(4) トーマス・フリードマン「タテ型社会からフラット型社会へ」 世界は急速にフラット化している。機会でもあり、リスクでもあり、企業や国家に課題を突きつけている.。

☆会員・三浦義博さん(名古屋市)の感想
昨年7月入会をさせて頂き、丁度一年となり、今回初めて第5回定時総会に参加をいたしました。 私は、長年民間企業に勤務しその当時、資生堂社長としてご活躍されておられた 福原会長の記憶もあり、是非ご講演を拝聴したいと名古屋から馳せ参じてまいりました。
講演の前段の事実確認については、後日資料の送付をお願いしましたが、後半のご講演は、大所高所から幅広く社会経済現象を観察され、ご研究されている事に驚愕いたしました。私も色々な講演会に出かけ、諸先生方のお話を拝聴しているつもりですが短時間で、あれだけ多様なエキスを拝聴する事はありませんでした。私は、この6月で71歳となりましたが、いろいろな意味で大きな勇気を頂戴いたしました。特に深く感銘したのは、「自己実現は、他者の自己実現、つまり他者との相互実現」という言葉でした。まさに眼から鱗が落ちるおもいでした。我がシニア社会学会も、なんと素晴らしい会長を頂戴したものかと会長はじめ、学会関係者に厚く感謝をすると共に歓びに満ちた一日でした。本当に有難うございました。 

☆会員・上野栄一さん(北見市)の感想
ワーク・ライフ・バランスとは簡単にいうと「仕事と生活の両立」という事でしょう。この問題は実は私にとって人生の大きな転換を迫られた問題でした。夫婦共働きで、子供が生まれたとき、まず子育てをどうするのか。幸いにも私の両親と同居していたので、妻が半年の育児休暇を終えた後は両親に頼りましたが、夫婦二人が帰宅するのは夜の9時、10時。それまでに子供は寝ていても年老いた私の両親のどちらかは起きていなければならない。このままではいけないと私が会社を辞めて、比較的時間の自由が利きそうな自営の道を選びました。おかげで家事全般はほとんど私の任務になりましたが、町内会や、NPOそしてシニア社会学会への参加などサラリーマン時代には考えられない世界が目の前に広がりました。おそらく地方の小企業の経営者には従業員が家庭や地域社会に参画してそれなりの成果を挙げる事が企業利益にも繋がっていくなどという事の認識はないと思います。このギャップをどうするのか、難しい問題だとは思いますが、自分なりの立場から企業や従業員にさまざまな提案をしていこうと思っているところです。

■ 懇親パーティ 午後12:00〜1:50 
100名を超える方々が一同に会し、袖井孝子副会長の乾杯で学会・会員の今後の発展を祈念しました。ビュッフェ形式の食事のあと、研究会の紹介、会員の紹介など大いに盛り上がり、濱口運営委員長の中締めで懇親会を終了いたしました。

☆会員・河西和彦さん(東京)の感想
今回初めて全員参加の昼食・懇親会に注目した。アルコールもあり、ビュッフェ形式の懇親パーテイが東京銀座、8時間会場使用で、会費5千円で出来たとは紹介の労を執って下さった尾澤理事に感謝。遠くから参加された井手口(広島)、三浦(名古屋)、成瀬(静岡)、上野(北海道)、パワフルエイジング研究会の2名(新潟)、大西(四国)、川井(大阪)、永澤(仙台)の諸氏の自己紹介が行われた。その後学会の5研究会について次世代研(沖藤)、年齢差別研(黒澤)、老若社会研(島村)、社会保障研(島津)、UDS結い(野坂)の順に紹介された。大阪の川井さんが隔月発行の「ルーダス」の見本紙を希望者に提供され、「私の定年戦略」の連載記事があったり、和歌山県観光連盟からは世界遺産「高野・熊野」の歴史・文化の学習の機会に無料で講師派遣等のそれぞれ中味の濃い貴重な情報が得られた。今後大会をより発展させるには参加者が積極的に行動し、簡潔な自己紹介が出来る機会を作ったり、多少の参考資料を持参してニーズの合った者同志の交歓が望ましい。また帰途気軽に2次会が出来る喫茶店やビアホールを事前に紹介すれば不慣れな者に有効と思う。 

☆会員・高橋昌子さん(東京)の感想
初の試み、ランチは懇親パーティで! 定時総会と基調講演が桜の間Aで終了した後、隣の桜の間Bで懇親パーティが開催されました(移動が大変便利でした)。ランチョンセミナーでお弁当を食べながら参加するという学会もありますが、本懇親パーティは、ホテルでの立食パーティというリッチな催しでした。初めて早稲田大学から銀座に進出しての大会となった今回、研究発表終了後に行われていた懇親会もランチタイムに移動という、これも初の試みとなりました。まだ、シンポジウムと研究発表が控えているため、アルコールは少量にという方が多かったようですが(アルコールがお好きな諸先生方も・・・)、会員同士の交流、名刺交換等盛況で、皆さんお話は弾んでいらっしゃいました。お料理も少なくなった頃、マイクが様々な方にわたり、各研究会からの報告・PR、催し物のお知らせに耳を傾け、特に、地域色に富んだ首都圏以外からの参加者のお話は、楽しいものでした。企業の卒業生の集まりである本学会という紹介もありましたが、まだ卒業生には達していない私のような会員も、先輩方のお話に楽しい時間を過ごすことができました。そのあと行われたシンポジウムがあれほど活気づいたのも、ランチ懇親パーティの威力でしょうか?! (以下は77号・78号で紹介します。)

2.シニア社会塾シリーズ第2回開催のお知らせ
「老若共同参画社会はどういう社会か」を基本コンセプトに、シニア社会塾のシリーズ展開が始まっています。会員以外の、一般の方の参加も歓迎いたします。
講師:清家 篤氏(慶応義塾大学教授・当学会副会長)
演題:「エイジフリー社会を生きる」 
日時:2006年7月1日(土) 午後3時〜午後5時

   (前回の75号で午後1時〜午後3時となっておりました。訂正してお詫びいたします。)
会場:みなとNPOハウス 4階会議室  港区六本木4−7−17、
地下鉄、大江戸線・日比谷線六本木駅6番出口・俳優座ウラ
定員:50名 参加費:会員1000円、一般1200円 
主催:シニア社会学会
申込み:参加ご希望の方は、FAXまたはE-mailで事務局までお申し込みください。
FAX:03-5778-4728 E-mail:jaas@circus.ocn.ne.jp

3.研究会の動き
■雇用における年齢差別研究会

6月の研究会は、6月19日(月)18:30〜20:30、慶應義塾大学 三田校舎 研究室棟4階446会議室で開催します。(黒澤記)

■老若共同参画社会研究会
第9回研究会は、5月19日(金)に17名が参加して開催され、テーマは、松本巧史氏による「メールマガジン『シニアのココロ ダイジェスト』と老若共同参画社会への考察」と題しての発表と問題提起でした。活発な質疑応答の後、濱口座長から質疑に対する回答と総括がありました。
次回は6月16日(金)17時から19時まで、早稲田大学高田牧舎2階人総研会議室で行ないます。テーマは、「シニア世代の『地域デビュー』支援事業を考察する〜地域活動インターンシップの事例を通して〜」のタイトルで、駒宮淳子氏に講義いただきます。お問い合わせは、事務局当研究会担当の島村まで。

■社会保障研究会
第19回研究会は、新企画として、外に出ての研修で、5月18日(木)に在宅医療を実施しておられる神津仁先生のクリニックのセミナー室に集合し、神津先生のお話をお伺いした後、神津クリニックに移動し、素晴らしく高度な医療設備の整った内部を見学しました。総勢18名が参加し、見学が終わった後、近くのレストランに全員が移動し、神津先生を中心に活発な意見の交換会が時間の経つのも忘れて行われました。参加者は神津先生に感謝しつつ充分満足して家路に就きました。
次回は7月5日(水)18:00〜20:30 お茶の水女子大学生活科学部本館315室、
講師、結城 康博氏(社会福祉士・政治学博士)
テーマ、06年医療制度改革を考える・・・政策決定過程からの分析   
※6月は開催されませんので、お間違いになりませんように。(森健記)

■NPO法人「ユニバーサル・デザイン・スタデイ・結い」(UDS結い)研究会
次回定例会は6月21日(水)午後6時半から原宿アエカ事務所で行います。
参加ご希望の方は、事務局長・吉田まで。
TEL:03−3479−2020、FAX03−3479−2001、
E-mail:aeca@sage.ne.jp

4.シニアニュース
@清家当学会副会長、NHKクローズアップ現代にスタジオゲストとして出演
5月30日(火)午後7:30〜8:00 NHKクローズアップ現代「シリーズ・デフレは終わったのか2」に清家副会長が出演。下落した給料「賃金デフレ」を検証。グローバル化の流れのなかで、正社員の賃金もこれからはむしろ契約社員・パートなどの賃金へ近づく可能性もあるなど、厳しい雇用環境が続いていくことを示唆された。

Aお茶の水女子大学21世紀COEプログラム「誕生から死までの人間発達科学」、公開講座「移行の危機を乗り越える」第4回(最終回)「生と死」のご案内
□7月1日(土)13:00〜16:00  お茶の水女子大学 共通講義棟2号館1階101
□子どもの命と安全を守るには 講師 袖井 孝子氏(お茶の水女子大学名誉教授)
  発達する死者たち       講師 波平恵美子氏(お茶の水女子大学名誉教授)
下記HPにて詳細がご覧になれます。
http://www.ocha.ac.jp/koukai/http://www.ocha.ac.jp/information/20060530.html
□受講料 無料
□会場までのアクセス:http://www.ocha.ac.jp/access/index.html 
                   地下鉄丸の内線徒歩8分
□申込み方法:メールにて、氏名、年齢、連絡先をシニア社会学会事務局までお知らせください。

BNPO法人自主事業サポートセンター、シンポジウムのご案内「格差社会の中 働かなければならない中高年者−どう働くか」
□6月18日(日)13:30〜  場所:綾瀬プレミエ(足立勤労福祉会館)2階
□参加費:500円(資料代として) 
お申し込みは、NPO法人自主事業サポートセンター(本部 東京・足立)
運営委員 園田太嘉雄さんまで。t_sono@dl.dion.ne.jp