JAAS News第33号をお届けします。      シニア社会学会・事務局:2003.7.11.

1.第2回定次総会・大会は盛況裡に終わりました
 第2回シニア社会学会総会・大会が、6月21日(土)早稲田大学15号館で開催されました。10時30分からの総会には会員223名が出席(委任状を含む)し、濱口晴彦理事・運営委員長を議長に選出して、守永事務局長の報告・説明の後、2002年度活動報告・決算報告、2003年度活動計画・予算案、会則改正、役員改選など6つの議案を、原案通り満場一致で可決しました。
その後研究発表大会が開かれ、11時30分より柴田博氏(桜美林大学教授・医学博士・会員)の記念講演「高齢者の地域活動と社会貢献〜8割以上の老人は自立している〜」があり、出席者はほぼ98%が共感したとのアンケート結果を得た興味深い内容に聞き入りました。
午後からは大会の部に入り、「雇用における年齢差別研究会」「ユニバーサル・デザイン・スタディ」「多様な働きの場創出研究会」「次世代育成支援研究会」「望ましいシニア像研究会」「定点観測調査プロジェクト」の活動報告があった後に、報告者を座長とする6つの分科会に分かれ、出席者はいずれかの分科会に参加して、約2時間熱心な議論が交わされました。
その後、再び会場に全員集合し6つの分科会から分科会での意見交換についての報告があり、17時45分、大会は予定通り終了しました。
18時から、大隈ガーデンハウスで懇親会が行なわれ、参加者が和やかに歓談した後、19時30分にすべての日程を滞りなく終了しました。
(研究会および分科会の報告はアンケートの結果を含めて、次号でお知らせします)

2.諸研究会の報告
■ 次世代育成支援研究会(座長:沖藤典子理事)
第5回研究会は 6月12日(木)午後6時から生命保険文化センターで開催されました。(出席8人)
石井幸代さん(慶応大学社会人学生)の作成レポート「少子化対策プラスワン政策評価」の説明。
今国会で審議中の「次世代育成支援対策推進法案」の元となる“少子化対策プラスワン” (02年9月/厚生労働省)について、石井さんによる政策評価の説明を聞き、皆でプラスワンを学ぶ。
少子化プラスワンの骨子は次の5つ。
 1)男性を含めた働き方の見直し、2)地域における子育て支援、3)社会保障における次世代支援、 4)子どもの社会性の向上や自立の促進、5)引き続き、待機児ゼロ作戦。
石井さんの「すぐできる政策提言」については、1)父親の出産休暇義務づけ、2)不妊治療特別休暇の導入、3)増設保育園へデイサービス機能を付加、4)保育料補助より児童手当の支給、5)保育の担い手(建物でなく人へ)援助に投資。結論として、企業の改革、地域のネットワーク、社会保障の国民応分負担、子育て支援の社会体制、私たちの意識改革が大切という。
次回の会合は、7月10日(火)18時から生命保険文化センター(日比谷中日ビル7F)で、 過去5回の討議内容をもとに意見交換を行ない纏めを行なう。
次々回は、8月7日(木)午後6時から東京労働会館内 高齢者協同組合連合会・4階会議室(豊島区南大塚2−33−10 TEL:03−5978−2190)。

■ 望ましいシニア像研究会(座長:濱口晴彦理事・運営委員長)
第7回「望ましいシニア像」研究会は、6月27日(金)早稲田大学高田牧舎2階人総研会議室で、17名が参加して開催されました。テーマは @桂山元明氏(当学会理事)による提案「望ましいシニア像研究会に期待するもの?他研究会とのコラボレーションに依る攻めの戦略への提案」 A荻野義雄氏(会員)による提言「望まれるシニア像(体験から)」の2つのリポートが行なわれました。先ず桂山氏からは、シニア社会学会が上昇気流に乗るためには、当研究会は全ての研究会にも関連するテーマでもあることから、他研究会と連携し共同作業することも含めて、攻めの行動することが必要であるとの提案がなされ、その後参加者から活発な意見交換がありました。一方、荻野氏からは、自分の体験を通じて得たシニア世代が抱える重要課題について提言が行なわれました。
次回の第8回「望ましいシニア像」研究会は、来る7月29日(火)18時から早稲田大学・高田牧舎2階人総研会議室で開催されます。テーマは、今井純子氏(会員)から「望ましいシニア像?こころも望ましい?」と題する提言が行なわれます。女性シニアそして「こころ」の視点から望ましいシニア像に対するリポートをいただきます。どうぞご期待ください。  (文責 島村)

■ 多様な働きの場創出研究会(座長:菅野正純理事)
★第10回例会 5月29日(木)18時から20時 高齢者協同組合連合会にて開催 参加;8名
今井 純子氏(会員)による「シニア世代の生き方としての労働」をテーマに発達心理学を中心に説明。
@堺屋太一著『大変な時代』から「90年代半ばまでは“めでたい高齢化”であったが、その後は“寂しい高齢化”が始まった。」を引用し、発表者のシニア世代からの発言として、「我々シニア世代がもっと声を上げるべきであり、高齢者の文化を高齢者から発する必要がある」。 A高齢者の労働を考える場合、社会性の労働が人生の6割を占めるということを考慮し、報酬に焦点を当てるだけでなく生きがいのある労働が求められる。そのためには、高齢者のニーズのとらえ方とそれをマーケットにどう反映させるかが重要となる。
B生涯発達の過程の資料を参考に、今までの体験が後の高齢期に影響を与える大衆化した老年期を内向きにしないこと。
<参加者とのディスカッション>
@若者、あるいはリストラ等で職を探している時期の人々の職を元気な高齢者が奪っていいのか。現役世代の邪魔をしない。A団塊の世代あるいはそれ以降の高齢者は、60歳後も働かざる得ない状況に陥る可能性が大きい。B本研究会では時事問題に積極的に目を向けきっかけを作るべきである。行政で行えない部分を起業。企業の外、地域社会にニーズが多くある。C発信者であり担い手である高齢者が高齢者のニーズをとらえた仕事起こしに取り組む(例;労力を行かせる介護を高齢者サイドから発信・終の棲家から地域社会に戻すケア)。
D従来の若者文化中心から高齢者文化へ。しかし、高齢者文化の経験不足から企業もあまり関心がない。
次回予定:7月24日(木) 18時 高齢者協同組合連合会4階会議室 堀池喜一郎氏による「新しい公共と仕事起し(仮題)」                  (文責:高橋昌子)

■ ユニバーサル・デザイン・スタディ研究会(座長:吉田健一UDS代表)
第15回例会が、7月1日(火)午後6時30分からパレフランスで開催されました。(出席9名)
1.「ACAP(社団法人消費者関連専門家会議)の活動について」の報告(朝日氏)
企業448社が加盟、個人登録で5百数十名が会員となっており、会員は、宣伝、営業、品質管理部門などのベテランが多く、自主研究会で苦情処理のケーススタディ、消費者関連部門のあり方、環境、UDなどを研究している。苦情処理は裏返せばUDにも通ずるのでは?というのが感想であり、会員が増え、予算が潤沢になる過程に興味を覚えた。
2. チーム別討議
(1)コクヨアワード2003
惜しくも入賞を逸したが、今後の方向としては、提案した4案を他社に売り込むとか、次回応募する際には、傾向を調べて対策を練り、入賞し易いものを考えることにしたい。
(2)UDコミュニケーションツール
 デザインについては、今後の課題とし、まず心臓にペースメーカーを入れている方、視覚障害・聴覚障害者、妊婦、松葉杖の方、歩行困難な方、車椅子の方など対象とする方々を、具体的な数字で把握することとした。また、バッジ、ホルダー、シール、ステッカー、帽子、Tシャツ、携帯ストラップ、カード、名刺、小銭入れなど、ツールは何が良いかも同時に考える。今回は途中なので、次回引続き検討する。
次回の会合は、8月は夏休みとし、9月2日(火)午後6時30分より。場所は未定。